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日本グリーフ専門士協会 ブログ

この哀しみが癒えるのはいつなのか?

こんにちは。
日本グリーフ専門士協会の井手敏郎です。

駅伝のポスターを目に止まりました。
運動でしたが、最近、ランニングの機会がありました。
走る以上はゴール、あるいは目安というものは大切ですね。
 
よく受ける質問にこの哀しみに終わりは来ますか。
というものがあります。
 
仕事も手につかず、家にいても心がザワザワする。
テレビはつけっぱなしにしないと不安だし、
スマートフォンを手にして誰かとやりとりをしていないと
気持ちがどうにも落ち着かないといってのは、
まだ奥さんを失って半年という40代の方でした。
 
喪失体験の後の状態は、
配偶者とこれまでどういう関係であったのか。
またどのような亡くなり方をしたのか。

その後の対処の仕方や周囲の対応によって変わります。
重ねてお伝えしている「心の距離」も影響します。
 
そういう意味で、
いつ哀しみが終わるのか予想することは困難でしょう。

それでも知りたいという方もいつかもしれません。 
中には半年で今までと同じ状態に戻る方もいますが、
2年以上かかるのが一般的です。
場合によっては5年以上経っても、
おかしいと(自分で)感じる方もいます。
あえて時間を意識しない方がいいかという気持ちもあります。
 
しかしどんな方にもぜひ一つお伝えしたいことは、
「哀しみには終わりがくる」ということです。
 
もちろん時間は必要です。
新しい自分になったと感じる(再生段階)に至るまで、
混乱、否認、怒り、抑うつ、諦観、転換という
プロセス(必ずしも順番ではありません)
を通して哀しみをじっくり味わうことも大切です。

この哀しみが癒えるのだろうかという方には、
まず時間が必要なこと、焦らずゆっくり進むこと、
と伝えていきましょう。

こんな状態でいいのだろうかと思われるかもしれませんが、
身体の一部を失ったと考えてみてください。

半年や1年でもとに戻る方が不思議なのです。
失った事実は変わりませんが、
時間を経れば適応することは可能です。

身体の調子が悪い、仕事が手につかない、
依存症ではないだろうか、という気持ちが出たときは、
「今の状態は当たり前なんだ」
「今はそんな自分でいいんだ」
と許してあげてほしいと思います。
 
グリーフケアにおいても、
いろんな考えの方がいらっしゃり、
グリーフを抱えた方は、
「怒り」で留まる人もいる事実から、
段階的に変化すると考えない方がいいという主張もあります。

私は先の記事であげたように、
紆余曲折はあるにせよ、
何度もスパイラルを描きながら
やがて「再生」の方向へ向かって進んでいく。
そう信じて、伴奏を続けていきたいと思っています。

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井手 敏郎(いで としろう)

井手 敏郎(いで としろう)

日本グリーフ専門士協会の代表理事。 全国各地で現場で使える実践的なグリーフケアの技術を教える講義を行っている。 アドラー心理学やユングの分析心理学、フロイトの精神分析などの他、国内外のコーチング、カウンセリングやヒプノセラピーなどについても学んでいる。現在はカルフォルニア臨床心理大学院で臨床心理の研究を行う。

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