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日本グリーフ専門士協会 ブログ

ゴミ屋敷がなかなか減らない真相とは

日本グリーフ専門士協会の井手敏郎です。

明日から和歌山へ移動です。
グリーフ専門士養成講座を開催するためです。
少しずつですが地域におけるグリーフケアの輪が広がり嬉しく思っています。

グリーフケアの学校の日程→http://goo.gl/UmHI72

60代の女性宅の玄関を通され驚いたことがあります。
玄関には飲み干したビールのカンが山ほどあり、
部屋は足の踏み場も無いほどでした。
女性は元々とても綺麗好きで、整理整頓も得意な方だったのです。

このようになったのは1年前のご主人の死がきっかけでした。
一人きりになってから急に物が捨てられなくなったといいます。

実は喪失体験をすると、
このような気持ちになる方が少なくありません。

「とにかく寂しくて、不安で仕方がないんです。
そんなとき主人の着ていた青いシャツを着たら不思議と安心したんです。
あの人に抱きしめられているような感じがするからかもしれない」

という彼女の言葉が、その気持ちを物語っています。

愛する人と一緒に過ごしたい。
夢でもいいから、もう一度逢いたい。
それができないのなら、大切な人のなにかに触れていたい。

そんな思いが、物を捨てられなくしていたです。

他人からすれば、ゴミのように見えるものであっても、
彼女にとっては、それを見ることができ、
触れることができる状態にあることが救いになっていました。

テレビで「ごみ屋敷」の問題がときどき取り上げられることがあります。
そのきっかけは、グリーフであることが少なくありません。
撤去をされてはまた増えていくことを繰り返す人もいます。
周囲のものを捨てられないのは、
見捨てられる不安がかかわっています。

ときどき眺めて心を癒すことは大切にしたいと思いますが、
それがエスカレートしていくことはできれば避けたいところです。
彼女はご主人の話を遺族支援のグループで聞いてもらえるようになってから、
すこしずつ周りのものを手放していけるようになりました。

非常識で迷惑な人だと考える前に、
誰かが、故人を今も心のどこかで探し求める
遺族の寂しい気持ちに気づくことが、
この問題の解決の糸口なのかもしれません。

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井手 敏郎(いで としろう)

井手 敏郎(いで としろう)

日本グリーフ専門士協会の代表理事。 全国各地で現場で使える実践的なグリーフケアの技術を教える講義を行っている。 アドラー心理学やユングの分析心理学、フロイトの精神分析などの他、国内外のコーチング、カウンセリングやヒプノセラピーなどについても学んでいる。現在はカルフォルニア臨床心理大学院で臨床心理の研究を行う。

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