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日本グリーフ専門士協会 ブログ

生活がめちゃめちゃになったご家族への第一歩

いかがお過ごしでしょうか。
日本グリーフ専門士協会の井手敏郎です。
最近、遠方での研修が続き、家に帰ることが減っています。
もう少し調整しないといけないですね〜。

今日は家族にいくつもの問題があるケースから考えてみましょう。

ある女性が脳梗塞で亡くなりました。
それがきっかけとなり夫はアルコール中毒。
中学生の長男は父親から怒鳴られることが頻繁になり、
長女はいつも父親に気を遣い、
母親が代わりをするために部活もやめました。
このままではどんどん厳しい状態になる。

めちゃめちゃになっているように見える家族に
どう接したらいいかというケースがありました。

死別のサポートを考える場合、
家族単位で考える必要性を痛感します。

個々の存在であると同時に、
周りと密接に繋がっているのですから当然ですが、
全体を一気に解決しようとすることで、
結局何もできないということも少なくありません。

家族のグリーフを支えるために、
まず考えるべきは、
一人一人の状況をしっかり理解することです。

まずは長男は今の状況をどう感じているか。
何が一番つらいのか。

もしかしたら父親に怒鳴られる以上に、
親を亡くしたことを知った友達が、
どう接していいかわからず、
自分を避けるようになったことがつらいのかもしれません。

表面的な状況を見ただけでは、
最初に取り組むべき課題は分からないものです。

何が一番つらいのか。
そこから尋ねてみてはどうでしょうか。

密接な繋がるがあるからこそ、
一人が前を向くようになれば、ほかの家族にもいい影響が及びます。

めちゃめちゃになっているというのは、
相談された方の受けた印象ですが、
一つが解決すると意外と大きな変化が起きるものです。

実際、このご家庭の長女の悩みは、
部活をやめたという事実ではなく、
家事が苦手でやり方がわからないということでした。

それを察した近所の方が料理や家事の仕方を彼女に教えてくれるようになり、
父親もその姿をみて怒鳴らなくなりました。
ただ息子さんの一番の悩みは、
怒鳴られることではなく、
先生と相談することで解決に向かいました。

プールの水を一気にくみ出そうとすれば、
とても難しいと感じるでしょう。
しかし、あなたがバケツをもってくみ出せば、
少しずつでも変化は起きますし、
一緒にくみ出してくれる人も現れるはずです。

家族は沢山の課題を抱えているかもしれませんが、
まずは一人の気持ちにしっかり寄り添うところからだと思います。

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井手 敏郎(いで としろう)

井手 敏郎(いで としろう)

日本グリーフ専門士協会の代表理事。 全国各地で現場で使える実践的なグリーフケアの技術を教える講義を行っている。 アドラー心理学やユングの分析心理学、フロイトの精神分析などの他、国内外のコーチング、カウンセリングやヒプノセラピーなどについても学んでいる。現在はカルフォルニア臨床心理大学院で臨床心理の研究を行う。

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