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日本グリーフ専門士協会 ブログ

悲嘆の中で花を摘む

 
こんばんは。
日本グリーフ専門士協会の井手敏郎です。 
 
爆発音をともなう大きな揺れ。
昨夜はそんな地震に飛び起き、
夜勤をする友達と今後の対応のためにローソクを灯し、
不安を抱かれている利用者さんに声かけ。
少し横になったものの、
あまり眠ることもできず、朝を迎えました。
 
日中はグループホームの後片付けの手伝い。
ロッカーはことごとく倒れ、書類は飛び出していました。
多くの職員が道路の寸断でホームに来ることができなかったため、
夜勤職員が昼を過ぎても引き続き利用者さんへ対応する状況でした。
 
自宅が被災に遭い、避難所で眠れない中、
なんとかかけつけた職員も、
使命感からほぼ徹夜状態のまま仕事に向かう姿に頭が下がります。
 
もともと講座を予定していた近隣の公民館へ行くと、
室内も通路も避難された住民の方で一杯。
水が流れないため異臭もする状況でしたが、
子供たちの無邪気な声が救いになりました。
 
また停電のため、自販機も使えず、
食料や飲料が手に入らない声を多くの方から聞きました。
 
ホームの敷地に設置された災害対策用の自販機で、
100本連続押しをして、避難所にお届けしましたが、
数に限りがあるため、配布の仕方が難しいことを知りました。
昨日まで被災地の支援をと意気込んでいましたが、
支援の難しさを改めて知らされます。
  
グループホームは認知症の方が生活される場です。
片付けの後は、利用者さんと一緒に散歩をしたり、
お話をしたりの1日でした。
 
認知症の方はある意味強いと感じます。
「昨日は何かあったんですか」
「寝てたから何にもわからんかった」
と笑顔を向けられ、癒されます。
   
ある認知症の方の散歩を距離をおいて見ていました。
手にされた花を見せてくださり、
「可愛らしい花が咲いてたから花瓶にさしたい」
といわれる感性に、
とっても大切なことを教えていただきました。
   
被害をことを考えれば考えるだけ、
拡大する被害ばかりに目が向きます。
  
しかし、いかなる状況であろうとも、
目の前の美しい花に目を向けることはできる。
 
ホームの中で楽しく語らう職員、
笑いを絶やさない仲間、
無邪気な子供たち、
認知症の方のように……。
  
大きな喪失は哀しみを伴います。
その想いは和らぐことがあっても
消えるものではありません。
    
喪失の悲嘆(グリーフ)の連続の人生にあって、
忘れてはならないのは、
悲嘆の中で花を摘める感覚だと思います。
 
コミュニケーションで大切なのは、  
周囲との対話以上に自分自身との対話です。
 
喪失と向き合う力は、 
周りに左右されない力であり、
孤独を生きる力、
それこそ人が最後にもっとも必要とする力に違いありません。
 

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井手 敏郎(いで としろう)

井手 敏郎(いで としろう)

日本グリーフ専門士協会の代表理事。 全国各地で現場で使える実践的なグリーフケアの技術を教える講義を行っている。 アドラー心理学やユングの分析心理学、フロイトの精神分析などの他、国内外のコーチング、カウンセリングやヒプノセラピーなどについても学んでいる。現在はカルフォルニア臨床心理大学院で臨床心理の研究を行う。

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