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日本グリーフ専門士協会 ブログ

【グリーフケアと身体の関係】気づかない間に蓄積される感情の問題

headache

「人間の心と身体は繋がっている」とは
よく言われますが、

本当にそのとおりだなと
驚かされることがよくあります。

これは以前にお会いした
ある女性の話なのですが、

彼女は

「体の調子がなにかおかしい」
「しょっちゅう頭痛がある」

と言っていました。

心配した家族が病院へ
連れて行っても、検査の結果

「どこにも異常がない」

といわれて原因が分からない
状態が続いていたといいます。

家族からしてみれば病院で何もないと
診断されていてもしんどそうにしている
彼女を見るのは辛いものです。

ある程度年齢も言っていたので
歳のせいもあるのかな・・・とも
思っていたそうです。

そんな風に3年間も
原因が分からない状態で
過ごしていました。

そんな中、

彼女は自分自身のグリーフには
気づかずに、別の理由で私のところへ
カウンセリングを受けに来てくれました。

そこで彼女の状態を詳しく
聞かせてもらったのですが、

彼女の意識を深くさぐる内に
あることに気づきます。

彼女がそんな風に調子が悪くなり始めた
のは、3年前にご主人を亡くしてから
だということに気づいたのです。

2人はとても仲の良い夫婦
だったそうです。

そんな仲の良かったご主人が
急に先立たれて、それから本当に
寂しかったと教えてくれました。

「もう一緒にご飯を食べることもないし、
外に出かけることもできない」

そんな風に考えて深い哀しみが
起きたといいます。

彼女は、

そんなことは言っても
亡くなった人は帰らないんだから、
と独りで受け入れて哀しみを
こらえてきたそうです。

彼女がその頃の心境を自分自身で
掘り下げていく中で、心の奥底で
フタをしていた感情が溢れ出して
きました。

3年間押さえていた想いが
どんどんでてきたのです。

涙がでてきて、
止まりませんでした。

それがご主人を亡くしてから
初めての涙だったそうです。

彼女はしばらく泣き続けました。
多分、30分くらいは泣いていたと
思います・・・

しばらくして彼女が
口を開きました。

「・・・あれから、はじめて
素直に自分の想いを話せました」

3年ぶりに自分の感情に対して
素直に慣れた、といっていました。

その瞬間、彼女の表情が優しく
なっていたのを今でも覚えています。
その後彼女は2回ほどカウンセリングを
受けにきてくれたのですが、

興味深いことにあれ以来
頭痛がしなくなったと
おしえてくれました。

それどころか「体が軽くなった感じ」
なんとなく元気がでてくるようだとも
教えてくれました。

それは彼女のなかにずっとあった
グリーフの感情が少しずつ解放されて
いったからかもしれません。

なんだかあっけない感じですが、
グリーフを抱えた方が楽になるのは
僅かなキッカケなのかもしれません。

少しのキッカケさえあればその後の
心境の変化が訪れます。

人間は本来持っている感情を素直に
表には出しづらいものです。

特に大人になっていくと立場や
役割があるので、なかなか本音を
表にだせません。

特に日本人はその傾向が強いと
言われます(空気を読むという文化が
ありますから)

私たちがグリーフを抱えた方と関わっていく上で
大切な事は彼らの心にフタをしている所をみて
彼ら自身に気づいてもらう、

そんなキッカケを提供することだと
私は考えています。

あなたも自分自身の過去を振り返ってみて
ある時何かのキッカケで心境が変化した
という体験をしたことはありますか?

もしあったとしたら、
その時あなたは何に気づいたのでしょうか。

少し時間をとって
思い出してみてください。

ほんの小さな気付きが
気持ちを楽にしてくれるということが
あります。

私たちはそれに気づくことで
人生をかけて少しずつ成長していく
ことができるのかもしれません。
日本グリーフ専門士協会
野村優
追伸:
次回は「哀しみのプロセスの理解が
最高の手助けとなる」ということに
ついてお話ししたいと思います。

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野村 優(のむら ゆう)

日本グリーフ専門士協会の広報担当。 協会の代表理事 井手の考えに共感して2015年からグリーフケアを広める活動を始める。 厳しい現場で働く看護師、介護士の人が使えるグリーフの知識を分かりやすく伝えるところが評価されている。 ロジカルな説明口調なので冷たいイメージを持たれるが、実際にはよく笑う人当たりの良いキャラクターで周りを和ませている。

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