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日本グリーフ専門士協会 ブログ

「対話」で哀しみを癒す方法

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深刻なグリーフを抱えた方との関わり方

井手です、

先日グリーフ専門士のスクールで
学んでくれた方から相談をもらいました。

もらった相談の内容は、

深刻なグリーフを抱えた方との接し方について、
どうしたらいいのかというものでした。

話をよく聞いてみると、

数年前に家族を亡くして本当に辛そうな方に
「なにを言ってあげればいいのか分からない」
と悩んでいるということでした。

深刻なグリーフを抱えた方に対して、
あなたならどんな風に関わるでしょうか?

哀しみの感情を抑え込んでしまう原因

私はグリーフケアにおける関わり方は

クライアントが抱えている「本質的な悩み」に
よって関わり方が変わってくると考えています。

グリーフを抱えている本人には
『心の痛みを引き起こしている原因』は
見えないものです。

ですがグリーフケアによる関わりで、
本人がその原因に気づくことができると、
それだけで気持ちが大分楽になるという
ケースがたくさんあります。

こういったことが起こる理由は、
クライアント自身が役割や環境によって、
感情を抑え込んでしまうことがあるからです。

抑え込んでしまっている原因を知る上で
大切になってくるのは、『本質的な悩み』の
見立てです。

「どこに悩みがあるのか?」
「どんなグリーフのガムテープを貼っているのか?」

※ グリーフのガムテープとは、グリーフを
抱えた方が無意識のうちに貼ってしまっている
感情を抑えつけている要因のことです。

カウンセリングをする側がこういった
見立てをすることができれば、より相手の
求める関わり方ができるようになります。

クライアントはカウンセラーに
「こんな風に関わって欲しい」と
自分では言うことはありません。

ですが、言葉ではないメッセージを発しています。

そういったメッセージを掴むことが、
グリーフカウンセリングではとても
大切になってきます。

一般的にクライアントの『本質的な悩み』を
見立てるには、カウンセリングの経験が
数年必要だと言われます。

ですが、私たちグリーフ専門士は看護や
介護の現場で忙しくしています。

カウンセリングだけに取り組んで
いくことは現実的に難しいでしょう。

それでは、どうすればよいのでしょうか?

限られた時間の中で最大限にできること

グリーフケアの原則は、相手が
つらい想いを語りやすい関係を作り、
ひたすら耳を傾けることです。

ですが、限られた時間の中で
どこまで聞けばいいのか、

深刻な状態になっている方に、
もっと何かできることはないのかと、
悩んでいる人が多いのも実態です。

そこで必要になってくるのが、
『カウンセリング・ツール』という道具です。

カウンセリング・ツールとはその名の通り、
カウンセリングに使う「道具」です。

カウンセリング・ツールには様々なものが
ありますが、グリーフを抱えた方が知らず知らずの内に
抑え込んでしまっているグリーフのガムテープを
一緒に見つけたりすることのできるツール、

また将来に対して希望を失っている
クライアントが前を向くきっかけを共に
見つけたりすることができるツールなどがあります。

こういったツールを使うことで、
クライアントが抱えている『本質的な悩み』を
的確に見つけることができます。

本質的な悩みに対応するカウンセリング・ツール

もちろんカウンセリング・ツールを
使うにも技術が必要なのですが、

なにもないところから話を聞くのに比べて
はるかに効果的にクライアントの本質的な悩みを
知ることができます。

グリーフケアは「喪失の悲嘆」という
人のとても複雑な感情を扱います。

大切な人を失って哀しんでいる人の心境は
「混乱」や「否定」などの様々な強い感情が
起こっています。

そういった感情に寄り添ううえで
カウンセリング・ツールを用いると
クライアントの心の奥の深い部分に
しっかりと寄り添うことが出来ます。

またそれだけではなく、
「今どんなことが起こっているのか?」

また「アプローチが正しいのか」
「間違っているのか」をカウンセラーが
理解することを助けます。

『本質的な悩み』に寄り添うことを考える

少し長くなってしまったので
このカウンセリング・ツールについては
また別の記事でお伝えしていこうと思います。

大切なことはクライアントのグリーフに
寄り添う、と一言でいっても、

彼らの悩みの本質に寄り添ってあげる
ということが大切だということです。

グリーフに寄り添うということは
技術やテクニックだけでなんとか
なるものではありませんし、

またクライアントによってはとても
長い期間をかけて閉じた心を開くと
いうこともあります。

人によって悲嘆から再生への
プロセスは異なります。

そんな中で私たちグリーフケアに
関わる人間が意識しておきたいことは、

深いグリーフを抱えたクライアントに
対して、「なにを言うか」ではなく、

どうやってクライアントの状態(グリーフ)が
解放される手助けをできるのかという
関わりではないかと私は考えています。

そのためにクライアントが
どんな状態にあるのか、

そして本質的にどんな悩みを
抱えているのかを理解することが
とても大切です。

井手 敏郎

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井手 敏郎(いで としろう)

井手 敏郎(いで としろう)

日本グリーフ専門士協会の代表理事。 全国各地で現場で使える実践的なグリーフケアの技術を教える講義を行っている。 アドラー心理学やユングの分析心理学、フロイトの精神分析などの他、国内外のコーチング、カウンセリングやヒプノセラピーなどについても学んでいる。現在はカルフォルニア臨床心理大学院で臨床心理の研究を行う。

 - グリーフケアの基礎知識