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日本グリーフ専門士協会 ブログ

睡眠障害で眠れない苦しみを改善し、心地よい生活を取り戻すためのポイント

グリーフによる睡眠障害

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本グリーフ専門士協会の
井手です、

大切な人との死別後の比較的早い段階で
よくある症状が睡眠障害です。

たとえばなかなか寝つけない、
夜明け前から起きてしまうといったものです。

状況によっては医療の助けが必要なこともありますが、
悲嘆による睡眠障害は通常は自然に解決します。

そのことがわからないと
安易に薬に頼ることになり、
副作用で脱力感がでて、うつ状態が長引ききます。

依存性が強いので、抜けることもなかなか難しいものです。

そのようにならないために
シンプルに改善できる方法を知っておくのは
とても役に立つことだと思います。

大切な人を亡くした後の睡眠障害には
不眠と過眠の両方が考えられますが、
不眠についていえば、

入眠困難
中途覚醒
早期覚醒
熟眠障害

の4つに大別されます。

入眠困難は
床に就いたものの30分から1時間、
寝つけない状態です。

中途覚醒は
一度眠りについたにも関わらず、
翌朝になるまで何度も目が
覚めてしまう状態です。

早期覚醒は
予定の時間より
2時間以上早く起きてしまい、
そのまま眠れない
という状態です。

熟眠困難は
睡眠時間が長いにも関わらず、
眠りが浅くてしっかり休めた
感じがもてない状態です。

これらは単独の症状のときもありますが、
同時に起きる場合も少なくありません。

喪失悲嘆による睡眠障害はどれくらいで改善するのか

『ハーバード子供の死別研究』によれば、
両親のいずれかを亡くした後、初めの4ヶ月で
5分の1の子供に睡眠障害が見られました。

しかし特別な治療がなされなくても、
死別後1〜2年を経ると、死別をしてない統制群と比較した場合
意味のある差が見られないほど睡眠障害のレベルは減少していることを
とアメリカ心理学会のフェローのウォーデン・J・ウィリアム
は指摘しています。

多くが自然に回復していくとはいえ、
1年2年の辛さを少しでも改善するためできることも
考えておきたいものです。

一般的な睡眠障害の症状の原因は大きく分けると
環境、気持ち、体調、習慣の4つあると
考えることができます。

1つ目の環境の面ではどのような
影響が考えられるでしょうか。

いつも違い部屋で休めば、環境は変わります。

部屋の明るさ、温度、ベッドの硬さ、
枕の高さ、周囲の音などによっても
睡眠の質が変わることが考えられます。

2つ目の気持ちの面も大きな要因です。

仕事でイライラしている。
大切な人と大喧嘩をしてしまった。
家族が病気になりとても心配している。
中には悪夢を見ることが怖くて
眠れないという人もいます。

3つ目の体調の面ではどうでしょう。

年齢の変化で睡眠のリズムが
変わることもあります。

女性の場合は特に
更年期に差し掛かることで
状態が変わることも少なくありません。

あるいは忙しい仕事が続けば、
体力的にかなりきつくなってしまい、
いつもと同じ時間休んだとしても
ゆっくり休めた感じがない
かもしれません。

怪我な病気などで体に
なんらかの痛みが生じることもあります。

アレルギーの痒さで眠れない
という人もいます。

4つ目が習慣の面です。

起床や就寝時間が不規則だったり、
食事をとったりとらなかったり
朝起きても着替えることのないまま
日中を過ごしたりでは1日のリズムが
大きく崩れてしまいます。

またコーヒーや紅茶などを多く飲むことで
必要以上にカフェインを摂取したり、
お酒の飲みすぎで、睡眠に変化が
起きたりすることもあります。

死別後に眠れないのは当然のこと

大事な人が亡くなれば、ここにあげた
環境、気持ち、体調、習慣のすべてが
変化すると考えていいでしょう。

40代の夫をがんで亡くした女性は、
一緒に住んでいる義理の母親と娘の
3人だけの生活となりました。

これまで男性がいた部屋が女所帯になったことで、
日頃の心細さも増したといいます。

夫が亡くなってから、1年以上に経ちましたが、
夜中ちょっとした物音がするだけで、
布団の中でビクッとしてしまい、
その不安は消えませんでした。

毎晩のように、
夫を追いかけても追いつかず、
遠ざかっていく夢を見たといいます。

毎朝4時に夢から覚めた後は
まったく眠れない日が続きました。

また娘は体調を崩し、
高校を休みがちなことも心配でしたが、
いつも相談に乗ってくれていた夫がいなくなり、
誰かに不安を漏らすこともできませんでした。

量は多くないものの、これまで
ほとんど口にしなかったお酒を
毎日飲むようになりました。

彼女自身も頭痛が治まらず、
働いていた職場を離れることになりました。

娘さんの大学入学の費用の
心配だったといいます。

さらに気がかりだったのは
義理の母親の認知症ではないか
という言動でした。

このように見てみると
大切な人を亡くした人は、
仕事が変わり、これまで近くにいた人がいなくなり
家族の置かれている環境も大きく変化しています。

金銭面や生活上も不安定なことが起こるため、
合わせて気持ちの面でも不安定になる
ことがわかります。

ここまで読んで分かるように、
哀しみを抱えている方が
寝れないことは当然です。

なかなか寝れないことはむしろ
自然なことといえるからです。

ですから自分に苛立ったり、
いたずらに不安を感じたりする
必要はありません。

深く寝るための4つの改善点

ではどのような点を心がければ
少しでも楽になるのでしょうか。

ここでは4つのポイントをお伝えします。

ポイント1
体の動かし方を変える

生活が不規則になり、
1日中ゴロゴロした生活を送っていると
体のリズムが崩れて夜に眠れなくなって
しまいます。

日中は体をほぐし血流を良くできる
適度な運動をすることが大切です。

まずは同じ時間に布団に入り、
同じ時間に布団から出るということから
リズムを整えていきましょう。

ポイント2
光との関係を変える

眠りを誘う睡眠ホルモン「メラトニン」は、
日の光を十分浴びることで分泌される「セロトニン」
という神経物質の影響で増えます。

一方で深夜パソコンや携帯などの強い光を見ることで
脳が刺激され覚醒してしまうので入眠しにくくなるので
寝る直前に見ることは避けることが大切です。

ポイント3
食事や食べ方を変える

カフェインも脳を覚醒させるものです。

夜のコーヒーや紅茶はできるは控え、
睡眠3時間前は食事をしないように
しましょう。

また寝る前に食事をすれば、
胃は消化活動を活性化
せざるをえません。

休息が必要なタイミングで内臓を
必要以上に動かすことになり、
睡眠が浅くなるのは当然です。

ポイント4
よりよい環境に変える

寝る前はゆったりした気持ちになるように
照明を落としたり音楽や服装を考えること
も有効です。

私たちの体温、血圧、ホルモン分泌などの体のリズムは
通常25時間周期になっていることが知られています。

これをサーカディアンリズム(概日リズム)といいます。

一方、1日は24時間のため、
日を浴びたり、時間を確認することがないと
毎日1時間ずつリズムがずれてしまい、
徐々に不調になっていくのです。

日を浴びたり、時間を意識することは、
このずれたリズムをリセットし、
体調を整える働きがあります。

医療機関にかかる前にできること

しばらく寝れないとすぐに「睡眠薬がほしい」
というクライアントにこれまでずいぶん出会ってきましたが、
睡眠薬には副作用も考えられます。

具体的にはふらつきや脱力感があったり、
効果が翌日にも響いてしまい、寝起きが悪く、
日中もぼんやりしてしまうことがあります。

私たちグリーフ専門士は
医療機関にかかったり薬剤を使う前に
できることがあると考えてクライアントに
関わらせていただいています。

まずは自然界のものを
うまく利用することを考えていきましょう。

日光に当たる以外にも、
小鳥のさえずりを聞いたり、
川のせせらぎに耳を傾けることも
体のバランスを整えます。

近くにそのような状況が期待できない人は
録音されたものをCDやその他で聞くことも
効果的な方法です。

床に就きながら、
あなたにとって心地よい場所を想像しながら、
眠りにつくのものいいことです。

あるいは無理に休もうとせず、
自然に眠くなるまで割り切って
照明を落として読書をするという
考えも大切かもしれません。

それでもダメな場合は、
より専門的な方への相談も必要になりますが、
薬に手を出す前にできることを
一つでも行ってみてください。

日本グリーフ専門士協会
井手 敏郎

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井手 敏郎(いで としろう)

井手 敏郎(いで としろう)

日本グリーフ専門士協会の代表理事。 全国各地で現場で使える実践的なグリーフケアの技術を教える講義を行っている。 アドラー心理学やユングの分析心理学、フロイトの精神分析などの他、国内外のコーチング、カウンセリングやヒプノセラピーなどについても学んでいる。現在はカルフォルニア臨床心理大学院で臨床心理の研究を行う。

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