看護師・介護士のためのグリーフケアを学べるサイト

日本グリーフ専門士協会 ブログ

グリーフに寄り添う為に押さえておきたい5つのポイント

グリーフを抱えた人にはどう声をかければいいのか?
170412blog

日本グリーフ専門士協会の
野村です。

グリーフ(喪失の悲嘆)を抱えた人と沢山接していると、気づくことがあります。

それはグリーフを抱えた人の周りにいる人が「どうやって接したら良いのか分からない」ということが原因で、場合によっては彼らを傷つけてしまうという事があるということです。

またグリーフを抱えた方自身も自分の中に起こってくる感情をどうやって伝えれば良いのか、また「伝えちゃだめなんじゃないか」と考えてしまう。

そういった事はよくあります。

でも、ここであなたに知っておいて欲しいことは、グリーフを抱えた方とのコミュニケーションは決して複雑なものではないということです。

もちろんグリーフに関する専門的な知識を持っていたら、彼らの痛みを和らげて上げることができます。でも、そういった知識が無くても『寄り添ってあげる』ということはできます。

今回は専門的な知識がなくても関わるための5つのポイントをお話ししたいと思います。

悲嘆を抱えた人に寄り添うポイント1:
『悲嘆から解放されるには時間が掛かる』ということを知る

大切な家族や人を失うという出来事はその人の心に大きな衝撃をもたらします。

それは「物理的な痛み」とは違いますが、実際に「深い喪失感」は身体の一部が失われたような痛みを感じることもあります。

そういったグリーフの痛みに苦しんでいる人が解放されるには、やはり時間という要素が必要になってきます。

なのですが、

周りの人からはその痛みを実際に「見たり(視覚情報として)」「感じたり」することは出来ません。なので、彼らの辛そうな状態をみて「今、なんとかしてあげたい」と思ってしまうこともあります。

グリーフという強く感情的なイベントのショックはとても個人的なものです。

喪失したイベントに対しての解釈も人によって異なりますが、どの場合においても再生までに時間が掛かることは普通のことだと理解してあげることでコミュニケーションの仕方が変わってきます。

悲嘆を抱えた人に寄り添うポイント2:
何があっても『繋がり』を持ち続ける

グリーフを抱えた人を支える人、例えば恋人や家族、または友人たちは関わっていくには時に努力が必要になったり、エネルギーを消費することになります。

そして家族や友人などの関係においては特に、この「何があっても繋がりを持ち続けてあげる」ということは大切なことになります。

特に喪失が起きてからしばらくは周りの人が気にかけてくれるのですが、その後、彼らも段々と日常生活に戻っていきます。

その時、グリーフを抱えた人は「独りきりになってしまった」と感じることになります。

グリーフという感情の状態は「繋がりが絶たれている」と感じている状態です。そういった時でも誰かと『繋がっている』という感覚を与えてあげることで彼らは深い安心感を感じることができます。

悲嘆を抱えた人に寄り添うポイント3:
「決まり文句」で話さない

さきほどお話したようにグリーフを抱えた人は「繋がり」という感情を求めています。

ですが、彼らとコミュニケーションをする上において「決まり文句」は避けたほうがよいでしょう。

特にグリーフを抱えた状態の人は「決まりきった言葉」を掛けられると、逆に孤独感を感じるというケースがあります。

「決まり文句」とはどういったものかというと、

・「あなたの辛さ、私もわかりますよ」

これは私たちにとって、ジレンマを感じることかもしれません。ですが残念ながらグリーフを抱えた人が実際どんな風に感じているかを理解することはできません。

・「大丈夫ですよ、まだこれから良い人(ペット、赤ん坊、男性)と出会えますよ」

グリーフを抱えている人は「失った人の代わり」を求めているわけではありません。彼らは「失った人を取り戻したい」と感じています。

・「彼(亡くなった人)と一緒に入れたことに感謝するといいですよ」

グリーフは「感謝を感じていない」という状態ではありません。また実際のところ彼らは失った人に関して深く感謝の感情を感じているケースは多いです。

いくつかの例を上げましたが、相手をいたわるつもりが逆にこういった言葉で傷つけてしまうということがあります。

悲嘆を抱えた人に寄り添うポイント4:
シンプルな声掛けで心の繋がりを作る

上記とは逆に、短くシンプルな声掛けをすることで彼らに心の繋がりを伝える事ができます。

例えば、彼ら自身が「とてもつらい」と伝えている時に「つらいですよね」と共感してあげるだけで彼らは繋がりを感じることができます。

また「私に何かできる事はありますか?」と聞いてあげるということもよいでしょう。実際にできることが無かったとしても、彼らは「自分と繋がりを持ってくれる人がいる」ということを感じることができます。

悲嘆を抱えた人に寄り添うポイント5:
亡くなった人についてのポジティブな経験について話す

多くのグリーフを経験している人は「居なくなった人についてのポジティブな経験」について話すことで気持ちが楽になるということを教えてくれました。

亡くなった人とのポジティブな記憶に触れることは悪いことではありません。もちろん人によっても感じ方は変わりますが、多くの場合は彼らの気持ちを和らげることになるでしょう。

グリーフを抱えた人は涙を流すこともありますが 、それはネガティブな涙ではありません。失った人についての良かった記憶に触れることで、その繋がりに対して肯定感を感じるという人がたくさんいます。

失ったものは元には戻らなくても、その人との繋がりは何かしら良い意味がある、と私は考えています。

「独りではない」と伝えてあげる

グリーフを抱えた人とのコミュニケーションで「どう接したら良いのか」が分からなくて困る、そういった言葉を聞くことは多いです。

ですが、ここでお伝えした5つのポイントを少しだけ意識してみてください。

一番意識したいことは、「彼らは独りではない」と感じてもらうことだと私は考えています。

今回の内容が少しでもあなたのお役に立てればうれしいです。

日本グリーフ専門士協会
野村優(のむらゆう)

 

CTA_grief_check

The following two tabs change content below.

野村 優(のむら ゆう)

日本グリーフ専門士協会の広報担当。 協会の代表理事 井手の考えに共感して2015年からグリーフケアを広める活動を始める。 厳しい現場で働く看護師、介護士の人が使えるグリーフの知識を分かりやすく伝えるところが評価されている。 ロジカルな説明口調なので冷たいイメージを持たれるが、実際にはよく笑う人当たりの良いキャラクターで周りを和ませている。

 - グリーフケアの基礎知識