こんにちは。
日本グリーフ専門士協会の井手敏郎です。
 
各地で行っているグリーフ専門士養成スクールに参加される方は、
特に職種が限られてはいませんが、
やはり来られる方は看護師、介護士、ケアマネージャーの方が多いと感じます。
 
その多くの方が気になっているテーマが今回の記事です。
「大切なご家族を亡くしたばかりの方にどのように声をかければ……」
終末期に関わる専門職の皆さんが悩むところかもしれません。
 
実際、かなり多くの方から尋ねられた質問の一つです。
こうすればいいという模範解答があるわけではありませんが、
まず大切なことは、
相手がどのような状態かを、こちらが心得ておくことです。

その状態がわからないまま、
「どう声をかければいいか」
という言葉だけに終始するのは適切ではないと感じます。
 
亡くなった方と残された方が
どのような「心理的な距離」にあるかにもよりますが、
一般には亡くなった直後は「混乱期」であり、
周囲の言葉が十分伝わらない可能性があることを
知っておいた方がいいでしょう。

日本グリーフ専門士協会では、
死別後の状態を7つの局面にわけて考えます。

混乱、否認、怒り、抑うつ、諦観、転換、再生の7つです。
とくに初期の段階に起ると考えられる混乱、否認では、
大切な人の死という事実を十分受け入れることができません。

もちろん相手が亡くなったことは事実であり、
言葉で聞かされていても現実感がなく、
ウソであってほしいと願います。
あまりにも衝撃的な出来事であるため、
一時的に思考や感覚が麻痺をする人もいます。
 
そのため、記憶が定かではなかったり、
普通の会話もままならないこともあります。
周囲から冷静に対応出来ているように見えても、
本人には覚えがないということもあるのです。
 
この時期に気の利いた言葉を覚える以上に大切なことは、
相手に対しての思いやりのある態度です。

不思議なもので、言葉は覚えていなくても、
優しくしてくれた、心をかけてくれた、
といった非言語の部分だけは心に残っている事実があります。

言葉がでなかったとしても、
哀しみをともに感じてくれていることは相手にも伝わります。

一つ一つの局面を深く理解することで、
不適切な対応がなんなのかわかるはずです。

それぞれの局面で何が起きているのか。
そのときに私たちにできることは何でしょうか。
これから綴っていきたいと思います。

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井手 敏郎(いで としろう)

井手 敏郎(いで としろう)

一般社団法人 日本グリーフ専門士協会 代表理事/アライアント国際大学カリフォルニア臨床心理大学院にて米国臨床心理学修士号(MA)取得/著書『金融機関行職員のためのグリーフケアを意識した相続の手続きと上手な接遇方法』(近代セールス社)日本、アメリカ、ドイツで悲嘆ケアを学び、死別悲嘆の支えるグリーフケア研修や個人カウンセリングを続けている。東京都内の精神科クリニックでは自死遺族のグリーフケア・プログラムを担当。日本グリーフ専門士協会のカウンセリングオフィス「CROSSROAD」(JR上野駅から徒歩3分)やオンラインで大切な存在を亡くした方の「哀しみの保健室」(わかちあいの会)を開催。