こんにちは。
日本グリーフ専門士協会の井手敏郎です。
 
皆さんは幽霊って信じますか。
この業界にいると、
ときどき不思議なお話を耳にすることがあります。
  
ご主人と死別された後、
「私はあの人(故人)とよく話しているんです」
と言われる方がいました。
  
それを聞いた看護師は、
「そうなんですね」と相づちを打つものの、
そのまま肯定していいものか、
悩むことがあると相談を受けたことがあります。

基本的にそのような体験をお聞きしたとき、
私自身は肯定的に捉えていますが、 
混乱期(喪失の直後)を過ぎてから、
このような感覚をもたれる遺族の方は少なくありません。
  
視野の周辺に故人がちらつくように見える。
しかし、そこに目を向けると人の姿はない。
でも存在だけはハッキリ感じた。
いつも私の隣にいてくれて必要なときに話す。
亡くなった夫が岸壁にたって自分を見ていた……。

その経験はさまざまですが、
故人の存在を感じている方に
何人もお会いしたことがあります。
 
それらの体験が事実なのか、幻想なのか、
実際のところはわかりません。
またそれを詮索する必要もないと思っています。
 
ただ一つ明確にお伝えすることがあるとすれば、
これらの体験がマイナスに働くことはないということです。
むしろいい影響を与えることのほうが多いといえるでしょう。

人によっては、自分が認められない以上、肯定もできない。
もしくは病的なものだとしたら変に認めれば、
助長することになるのではという気持ちになるかもしれません。

たしかに死生観によっては、
死んだ後なんてないと思う人もいるでしょう。
 
しかし、あなた自身が認めるかどうかは別として、
相手に見えている、感じられているのは事実です。

その相手の気持ちを大切にして、
こう尋ねてみてはどうでしょうか。

「どんな様子だったの」
「なにかお話はしたの」
「どんなふうに思ったの」

大抵の場合、
「悲しそうだった」
あるいは
「ニコニコしていた」
と相手の表情を思い浮かべて話をしてくれます。

なにも話をしていなくても、
その体験から遺族は何かを受け取ることが少なくありません。

「あの人がいつも着ていたスーツ姿だった」
「悲しそうだったのは、私はいつまでも泣いているからかもしれない」
「ニコニコしていて、大丈夫だから安心してといってくれていた気がする」

これらの体験は、ほとんどのケースで、
本人なりに必要な手がかりをえて、気持ちを癒されるものばかりです。

クライアントがその体験を通して感じた、
悲しさ、切なさ、怒り、不安、
場合によってはこれからの決意など、
深い思いを、お聞きする大きなきっかけになります。
 
かりにあなたがスピリチュアルは受け入れられないという立場でも、
相手の気持ちを否定せず、
しっかり向き合うチャンスだと思ってください。

「そうなんだ。どんな様子だったの」
と尋ねてみてはいかがでしょうか。

クライアントの反応から、
あなた自身が知らされることもあるはずです。

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井手 敏郎(いで としろう)

井手 敏郎(いで としろう)

一般社団法人日本グリーフ専門士協会の代表理事。看護師、介護士、ケアマネジャーへの講演をはじめ、死別などによる悲嘆(グリーフ)を抱えた方の支援者を養成している。悲嘆支援の担い手であるグリーフ専門士・ペットロス専門士は国内外に約500人にのぼる。日本、アメリカ、ドイツでグリーフケア、カウンセリング、コーチングを追求。より実践的なグリーフケアを目指し、アドラー心理学、ゲシュタルト療法、ヒプノセラピーを統合した学びを提供している。現在はカルフォルニア臨床心理大学院で臨床心理を探めながら、精神科クリニックや上野駅前サロン「CROSSROAD」で毎週、遺族へのグループカウンセリングも行っている。