こんにちは。
日本グリーフ専門士協会の井手敏郎です。

最近『あさイチ』をはじめ、人気番組などでも、
グリーフを取り上げているのを知りました。

ほんのちょっとでもグリーフの認識があることで、
自分の気持ちの整理の仕方が変わってきます。
一時的な話題に留まらず、こういった機会が増え、
もう少し周りに関心をもって頂けたら嬉しいなと思っているところです。

今回は抑うつの局面において、
伝えられる言葉について考えてみましょう。

誰とも会いたくない。
何にもしたくない。
身体の力がでない。
という状態は喪失を経験した後、
多くの方にあらわれます。

大切な人の死を前に、
これからどうすればいいかと混乱し、
この出来事がウソであってほしいと願い、
周囲の対応や自分の不甲斐なさに対する怒りがわき起こると、
身体は疲れ果て、心が空っぽのようになり、
一生で出すべき涙をすべて出してしまったのではないか
という気持ちかもしれません。

布団からでることができず、気持ちは落ち込み、ぐったりしている。
仕事になんとか出ても、気分が優れなくなり、
自分がおかしな病気になったのではと不安になります。
疲れるばかりで、ときに絶望感が起きることもあるため、
本当に最悪の状態だと感じる人が少なくありません。

ある女性は夫を亡くしてから半年以上たっても、
仕事もできると思っていたにもかかわらず、急に気力が衰えてきました。

仕事に張りがなくなり、自分が小さく感じられ、
何にもする気がおきなくなったといいます。

友達から電話があるとそれなりには元気になっても、
それが終わるとすぐに落ち込んでしまう。
家では横になってばかりでした。

このような状態になれば、
誰でも自分が病気ではないかと疑うかもしれません。

夫を亡くして、大きな哀しみはあったにしても、
半年がたち、なんとか生活出来るようになっただけに、
急な体調の変化に戸惑います。

しかし、このような体調の変化はごく自然な反応であり、
かならずしも病ではありません。

あなたはこれまで想像もしない苦しい出来事に襲われ、
ときに聞きたくない言葉を浴びせられ、
沢山のつらい経験をしてきました。

心身ともに耐えられないほど酷使したため、
アドレナリンは過剰に分泌され、エネルギーの多くが放出されたのです。
今は休養が必要なタイミングが訪れたにすぎません。
体調の不良はあなたに休みが必要なことを教えてくれています。

ここで無理をすれば本当に病気になってしまうかもしれない。
それを教えてくれるシグナルが抑うつ状態ですから、
できないことは周囲に伝え、助けを求めてもいいのです。

グリーフによる抑うつ状態は、けっして病気ではなく、
大切な人を失った誰にでも起こる状態だと理解し、
もっと「自分に甘くする」していいことを伝えてください。

The following two tabs change content below.
井手 敏郎(いで としろう)

井手 敏郎(いで としろう)

一般社団法人 日本グリーフ専門士協会 代表理事/アライアント国際大学カリフォルニア臨床心理大学院にて米国臨床心理学修士号(MA)取得/著書『金融機関行職員のためのグリーフケアを意識した相続の手続きと上手な接遇方法』(近代セールス社)日本、アメリカ、ドイツで悲嘆ケアを学び、死別悲嘆の支えるグリーフケア研修や個人カウンセリングを続けている。東京都内の精神科クリニックでは自死遺族のグリーフケア・プログラムを担当。日本グリーフ専門士協会のカウンセリングオフィス「CROSSROAD」(JR上野駅から徒歩3分)やオンラインで大切な存在を亡くした方の「哀しみの保健室」(わかちあいの会)を開催。