日本グリーフ専門士協会の井手敏郎です。

今朝の札幌は先月のドイツのベルリンで感じた寒さと同じくらいでした。
東京に戻るとずいぶん温かさを感じました。

20代後半で、まだ結婚ばかりだったにも関わらず、
夫を亡くした方がいました。5歳の娘さんがいた方です。
若いときに配偶者を亡くすと問題が拡大することがあります。

彼女の話は、夫の喪失で大きな悲しみを抱えているにも関わらず、
子供の哀しみを支えることに目を向けざるをえず、
自分の感情を出せないまま、母親として気丈に振るまうことが
いいのだろうかという相談でした。
  
子供の前で泣けない理由の一つは、
自分が哀しみ続ければ、周りが動揺したり、
生活のバランスがさらに崩れると感じるからかもしれません。

しかし実際は逆なのです。
子供たちは親が涙を流す姿を見て、一緒に泣くことがあります。
それは子供たちにとって大切なことであり、必要な過程です。

親がつらいにも関わらず、その様子を見せようとしなければ、
子供たちは感情を出すことをよくない、と学んでしまうことがあります。
その状況は子供たちとってけして好ましいことではないのです。

自分だけでもつらいのに、
状況によっては、子供だけでなく、
夫の両親や兄弟姉妹を慰めることを期待されることもあるため、
事態が一層深刻になることも考えられます。

できないことはできないと伝えていいい。
気持ちに正直になって子供と一緒に泣いてもいい。

その後、気持ちを切り替えようとする母親の姿に、
子供たちは人として大切なことを沢山受け取ってゆきます。

どうしても子供さんの前では泣けないということがあったとしても、
良き聞き手を捜すことは大切です。

また、つらいことがあったとき、
自分を否定せず、気持ちと向き合ってくれる
友達関係を今から作ることが必要かもしれません。

もしそういう人が身近にいない場合は、
グリーフケアの自助グループを探してみてもいいと思います。

私たちもその一端を担えたらと願っています。
まず自分が感情を出すことに自分でOKを出してください。

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井手 敏郎(いで としろう)

井手 敏郎(いで としろう)

一般社団法人日本グリーフ専門士協会の代表理事。看護師、介護士、ケアマネジャーへの講演をはじめ、死別などによる悲嘆(グリーフ)を抱えた方の支援者を養成している。悲嘆支援の担い手であるグリーフ専門士・ペットロス専門士は国内外に約500人にのぼる。日本、アメリカ、ドイツでグリーフケア、カウンセリング、コーチングを追求。より実践的なグリーフケアを目指し、アドラー心理学、ゲシュタルト療法、ヒプノセラピーを統合した学びを提供している。現在はカルフォルニア臨床心理大学院で臨床心理を探めながら、精神科クリニックや上野駅前サロン「CROSSROAD」で毎週、遺族へのグループカウンセリングも行っている。