日本グリーフ専門士協会の井手敏郎です。
 
昨晩は熊本にいたため、多くの方にご心配頂き感謝ばかりでした。
LINEやフェイスブックは電話回線を圧迫しないので、
ライフラインして使えるのが有難いですね。
 
東日本大震災のときはビルの高いところにおり、
へし折れると思うほど大揺れするビルの中で
本当に「死ぬ」と思いました。
  
今回はレストランで友達と食事している最中でしたが、
建物が大きく軋み、食器はガチャガチャ。
かつての記憶がよぎり、かなり不安な気持ちでした。

ホテルでは余震のたびに、ほどんどの客が外に出たり入ったりでした。  
私もさすがにホテルの高い階で寝るのは不安だったので、
キャンセルし、一階のロビーで待機させてもらったのですが、
あわてても仕方ない、自分のやれることをと思い、
パソコンに向かったり、本を読んだりしていました。
 
そんな中、夜中1時すぎに、
グリーフ専門士協会の事務局がある
グループホームの男性友達が二人で迎えにきてくれたときは、
ものすごくホッとした自分がいて、
大丈夫と周りにも公言し、やりとりをしつつも、
知らず知らず大きなストレスを抱えていたことに気づきました。
 
喪失の悲嘆(グリーフ)を抱えた初期、   
突然の身内の葬儀で気丈に振る舞う中にあって、
大きな悲嘆はもちろん、
見えない強いストレスがあることをあらためて感じます。
 
葬儀社との打ち合わせ、弔問者への対応、挨拶、
親族でも、代が変われば、名前が違うことも。
故人の友人なのか仕事関係の人なのか、
何がなんだかわからないまま進みます。
そこをおろそかにすれば、自分たちが困ることになります。
葬儀社がすべてを段取りするわけではなく、
届いた花の並べ順や、弔電や焼香の順序など、
多くが喪主の責任で決められます。

「しっかりしてますね」
「立派な様子だった」
「取り乱していないから安心した」
と見る方がいますが、冷静な対応している裏で、
遺族には張り裂けそうな胸のうちがあるのです。
   
不安な気持ちを抱えた時、
できるだけ早く誰かと気持ちを共有したり、
弱音を吐ける人が身近にいることはグリーフケアでは大切なことです。
 
過剰な安否確認は控える必要がありますが、
それでも、周囲の優しい声かけや行動がどれほど力になるか。
相手の見えないストレスに気づける人でありたいと思います。

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井手 敏郎(いで としろう)

井手 敏郎(いで としろう)

一般社団法人 日本グリーフ専門士協会 代表理事/アライアント国際大学カリフォルニア臨床心理大学院にて米国臨床心理学修士号(MA)取得/著書『金融機関行職員のためのグリーフケアを意識した相続の手続きと上手な接遇方法』(近代セールス社)日本、アメリカ、ドイツで悲嘆ケアを学び、死別悲嘆の支えるグリーフケア研修や個人カウンセリングを続けている。東京都内の精神科クリニックでは自死遺族のグリーフケア・プログラムを担当。日本グリーフ専門士協会のカウンセリングオフィス「CROSSROAD」(JR上野駅から徒歩3分)やオンラインで大切な存在を亡くした方の「哀しみの保健室」(わかちあいの会)を開催。