おはようごさいます。日本グリーフ専門士協会の井手です。 いよいよ始まるグリーフケアオンラインスクール準備をするために吉祥寺へ行きました。駅まで中学時代の友人が料理長をしている店に足を運びましたが、利害関係の付き合いって大切ですね。  過去を大事にする感覚はグリーフケアにおいても重要だと感じます。 今回のテーマは、グリーフスパイラルの「抑うつ」の視点についてです。  息子が亡くなって以来、一切希望がもてない、生きていく気力がない、何かをする意欲が生じない、ポッカリ心に穴があいたようだ……。 このような抑うつ状態になることはグリーフ(悲嘆)においては自然なことです。 葬儀、四十九日などが済めば、自分を訪ねてくる人も途絶えがちになります。寂しさが一層増して、しんどい気持ちになっていくこともあるでしょう。 自分の手足を失ったような体験をしたのです。半年や1年、まったく動けない休養期間があってもおかしくありません。 失恋した、第一志望に落ちた、仕事で大きな失敗をした……、そのような出来事がおきれば、気力が下がり、長い期間、落ち込む抑うつ状態になりえます。 ましてや大事な人を失う体験をしたのです。気分が落ち込んでしまう抑うつ状態は病気ではなく、「正常」な反応です。 ある女性は、夫が亡くなって以来、家で一人になると寂しさと不安感で何もやる気がおこりません。近所に住む娘や孫が来たときは、食事を作ったり、掃除をしたりと家事もなんとかこなせるのですが、彼女たちが帰り、一人になると大きな脱力感に襲われます。と語りました。 グリーフでいう「抑うつ」と「うつ病」を見極める一つは、その症状に変動があるかどうかです。  抑うつ状態の人は、周囲の関わりによって心が楽になることもあります。1日の間でつらいことが多いとはいえ、友人に耳を傾けてもらえる時は楽になったりします。 いわゆるうつ病の場合、早期発見が大切といわれます。しかし、グリーフにおいても、気分が落ち込み、身体の不調が重なることを知っていれば、安易に薬にたよるべきではないとわかるでしょう。 その上で、まったく食事ができない、睡眠がとれない状態が長く続く場合は、 信頼できる医師の判断を仰ぐことが大切になります。   まずは任せられるものは誰かにまかせる、掃除は掃除ロボット(ル●バ)にしてもらう。できるだけ生活をシンプルにするなど、周囲の協力でできることもあるはずです。必要なだけ休んでもいい、と自分に許可をだしてほしいと思います。
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井手 敏郎(いで としろう)

井手 敏郎(いで としろう)

日本グリーフ専門士協会の代表理事。全国各地で現場で使える実践的なグリーフケアの技術を教える講義を行っている。アドラー心理学やユングの分析心理学、フロイトの精神分析などの他、国内外のコーチング、カウンセリングやヒプノセラピーなどについても学んでいる。現在はカルフォルニア臨床心理大学院で臨床心理の研究を行う。